Vol.03
私たちが届けてきた
『ほんまもん』とは
明治の世に不相応な「ほんまもん」の鉄橋を建設
淀川駅と姫島駅の間を流れる淀川に架かる本線淀川橋梁。現在の橋梁は二代目ですが、開業時の初代淀川橋梁の建設に際して、当時の責任者が、周囲の「あんな立派な大鉄橋をこしらえて何になる」との声を押し切り、将来の鉄道利用の増加を見越して堅固で重厚な橋梁を建設したとの逸話が残っています。その後、車両の大型化・高速化に見事に対応し、62年後に二代目へ引き継がれました。
竣工間近の本線淀川橋梁(初代)
二代目の淀川橋梁と立体化
地盤沈下の問題などに対応するため、1967年に新たに建設された二代目の淀川橋梁。同時に近接の駅も高架化し、道路と立体交差させる工事も行いました。阪神電車では戦前から断続的に線路の高架化・地下化を進めており、現在の立体化率は本線95%、阪神なんば線90%、神戸高速線100%で、非常に踏切道の少ない鉄道です。阪神電車の歴史は、「ほんまもん」の安全を目指してきた歴史でもあります。
架替え中の本線淀川橋梁(奥が初代、手前が二代目)
そして令和の世でも「ほんまもん」の鉄橋を建設中
阪神電車には、本線のほか、阪神なんば線にも淀川橋梁があります。現在、2032年の完成に向けて「阪神なんば線淀川橋梁改築工事」が進行中。大規模災害に備え、橋梁の桁下高を上げ、橋脚を減らすことで、洪水や高潮等の被害の防止を図ります。また、完成すると阪神なんば線の立体化率は100%に。120年の時を経て、今も将来を見据えた「ほんまもん」の淀川橋梁を建設する工事が進行しています。
現在工事中の阪神なんば線淀川橋梁
120th アナザーストーリー
最初の立体化工事は大石・住吉間
高い立体化率を誇る阪神電車の最初の立体化(高架化)工事は、1926~29年にかけて、大石・住吉間で行われました。同区間は当時、併用軌道(道路上に敷設した軌道)により営業していましたが、他社線との競争が激化する中、安全確保とスピードアップの観点から、同区間を含む併用軌道部分の専用軌道化が急がれていました。1929年7月の高架線開通により、従来の御影市街を通る軌道は廃止され、梅田・三宮間の所要時間が普通で6分、急行で8分短縮されました。その後の三宮地下線の完成(1933年)により、本線全線が専用軌道化されることになります。