健康経営戦略マップに掲げる課題への取組み

当社が設定する5つの健康課題に対する従業員やその家族を対象とした具体的な施策は次のとおりです。
また、各施策については、その時々に応じて課題を分析し、必要な施策を検討し実行するというPDCAを回すことで、健康経営の取組みを効率的に進めています。なお、各施策に対して従業員は、ヘルスリテラシー向上のためのe-ラーニングにおいて、約60%が役に立っていると回答しています。

生活習慣病の予防

特定保健指導の取組み

健康診断結果により生活習慣病のリスクが高いと判断された従業員に対し、自主的・継続的に「食生活の改善」に取り組んでもらうために、管理栄養士の資格を持つ専門相談員のサポートを提供しています。また、特に健康状態の悪化している対象者には産業医による丁寧な事後フォローを行っています。これらの取組みにより、従業員の生活習慣病リスクの低減を目指していきます。

健康測定会の開催

自身の健康状態を把握するべく、健康測定会を実施しています。
生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の1つである「野菜類を1日350g以上食べること」を従業員に意識してもらうきっかけづくりとして、野菜摂取量を簡単に測定し可視化するイベントのほか、骨の健康状態や血圧・血管年齢、ロコモ度等をチェックするイベントを開催しました。なお、イベントには、当社従業員のほか、グループ会社従業員・お取引先の方々にも参加いただきました。

社員食堂におけるヘルシーメニューの提供

社員食堂(3事業所)において、野菜を多く使う、塩分を控えめにする、雑穀米等の提供など健康に配慮したヘルシーメニューを提供しています。また、従業員の健康管理に役立てるため、メニューにカロリーや塩分等の情報を掲示しています。社員食堂は当社従業員だけでなく、グループ会社の従業員も利用可能であり、グループ全体の健康経営の推進に寄与しています。

社内運動会の開催、部活動・サークル活動の推奨

年1回運動会を開催しており、運動機会の創出、従業員間の交流促進を支援しています。運動会には従業員だけでなく、そのご家族にも数多く参加していただいています。今年度は「からだ測定会」として「上体起こし」「握力」「AGEs」の測定会を実施し、従業員及びそのご家族延べ209名が楽しくチャレンジしました。また、部活動やサークル活動も奨励しており、現在、野球部、山岳部など9つの団体が活動しており、定期的に社内大会を開催しています。

ウォーキングイベントの参加奨励

健保組合主催のイベント「みんなで歩活」の参加を奨励しています(年に2回開催)。「みんなで歩活」は参加者が自由にチームを組み、チーム間で一定期間の歩数を競うイベントです。歩く習慣をつけてもらうだけでなく、各職場でチームを組んで参加することにより、職場内のコミュニケーション活性化にも寄与しています。被保険者だけではなく被扶養者にもご利用いただいており、2023年度は当社から延べ190名以上が参加しました。

禁煙の取組み

喫煙率の低下に向けた取組み

当社では、2021年5月に、喫煙者数を減らすことが生活習慣病等の予防をはじめ、従業員の健康増進に資すると考え、禁煙を推進していくために、『禁煙推進宣言』を制定しています。

禁煙推進宣言

阪神電気鉄道では、従業員やその家族の心身の「健康」が幸せの原点であるとともに、会社の豊かな未来の礎であり、お客様に「安心・快適」、そして「夢・感動」をお届けするためには、みんなが健康であることが何よりも大切だと考えています。
これを実現するために、従業員一人ひとりが自らの健康に高い意識を持ち、職場の仲間や家族とともに健康づくりに取り組むべく、会社を挙げて『健康経営』を推し進めています。
健康を損なう要因には様々なものがありますが、その中でも喫煙は、疾病や死亡の原因の中で防ぐことのできる最大の危険因子であると言われています。また、喫煙は本人の健康に悪影響を与えるだけでなく、受動喫煙という形で職場や家庭など周囲の方々へも大きな健康被害を及ぼします。
以上のことを踏まえ、阪神電気鉄道では、一人ひとりの健康づくりと生き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して、『禁煙推進』に取り組んでいくことを宣言します。

阪神電気鉄道株式会社
代表取締役社長 健康経営推進責任者
久須 勇介

当社の現在の喫煙率は約20%ですが、これを2025年度までには15%以下にすることを経営目標の1つに掲げており、この目標を達成するための様々な取組みを行っています。禁煙外来の医療費補助・禁煙施策(卒煙イベント・終日禁煙デー)のほか、健保組合と協働し、スマートフォンからも利用できるオンライン禁煙施策など、メニューを増やし禁煙の取組みを推進していきます。

がん予防の取組み

がん検診の受診促進

がんの罹患リスクを減らす取組みとして、罹患リスクの高いがん検診や人間ドックを受診できるようにしています。具体的には、受診可能ながん検診を健保組合のWEBサイトに掲載し、従業員自身が申込みできるようしています。他にも、がん検診の費用補助や、特定のがんについては、精密検査時の一部費用補助を行うなど、手厚い受診促進策を実施しています。

精神系疾患の予防

職場におけるメンタルヘルスの重要性を認識し、メンタルヘルス不調や疾患を未然に防止するために、相談窓口の設置や研修・ストレスチェック等を実施しています。

メンタル専門医の診療

社内診療所で、毎月第2、第4金曜日はメンタル専門の医師にメンタルヘルスの相談ができます。

カウンセリングルームの設置

隔週水曜日午後、社団法人日本産業カウンセラー協会が推薦するカウンセラーによるカウンセリングを無料で受けられるカウンセリングルームを設置しています。また、外部のカウンセリングルームを無料で利用することができる体制を整えることで、相談できる環境を充実させています。

マッサージルームの設置

従業員の身体の健康と業務能率の向上のため、2019年度に1,000万円規模の投資を行い、本社に国家資格「あん摩マッサージ指圧師免許」を持つスタッフが施術を行うマッサージルームを設置しています。利用対象を当社のみならず、阪急阪神ホールディングスグループの全従業員としており、2023年度は平均約140名/月が利用し、阪急阪神ホールディングスグループ全体の従業員のこころとからだの健康の増進に寄与しています。

メンタルヘルス研修の継続実施

従業員がメンタルヘルスについて正しい知識を持ち、理解するため定期的に、メンタルヘルスの基礎知識やセルフケア(対処法)・周囲のメンタルヘルス不調者の対応などに関する研修やe-ラーニングを実施しています。

ストレスチェックの実施

ストレスチェックは、従業員のメンタル不調を未然に防止する一次予防を目的に実施しており、従業員自身のストレスへの気づきを促し、労働者のストレス程度を把握することによって職場環境改善やストレスマネジメントの向上につなげています。ストレスチェックの結果によらず、メンタル専門医やカウンセリングルームの紹介、健保組合の相談窓口を紹介するなど、メンタルヘルス不調の未然防止のため、専門家につないでいます。

長時間労働による健康障害の防止

長時間労働による健康障害を防止するために、「労働時間の適正化によるワークライフバランスの確保」や「活力と一体感のある職場づくり」に取り組んでいます。

多様な働き方(ノー残業デー・時差出勤・在宅勤務制度)の導入

具体的な取組みとして、週2回のノー残業デーを実施(本社)し、時間外労働の削減や年休取得を促進するためのモニタリングを行っています。また、効率的な働き方を推奨していくために、時差出勤や在宅勤務制度を整備し、多様な働き方を選択することができます。

正社員の年次有給休暇取得状況 2021年度 2022年度 2023年度
平均年次有給休暇取得日数 16.6日 17.6日 17.4日
平均年次有給休暇取得率 88.1% 92.3% 91.6%

業務効率化の取組み

担当業務の所要時間を定量的に把握し、簡素化や不要な業務の廃止などを行う「業務の棚卸し」や、各部署で実施している業務効率化の取組みを集約し、全部署へ展開する「業務効率化事例の水平展開」など、健康経営の主管部署である人事部が主導となり、業務効率化の取組みを継続的に推進しています。
こうした取組みにより、1人1か月平均時間外労働時間(本社)は、2019年度比で3.1%減少し、業務効率化による生産性の向上や男性社員の育児休業等の取得率が約100%となるなどの効果が得られています。

その他

社内診療所

従業員が健康でいきいきと業務に従事するための健康管理サポートの一環として、社内診療所を備えています。生活習慣病全般に対応可能な医師が常駐しており、定期健診や保健指導のほか、予防接種、風邪、体調不良など一般診療に対応しています。また、定期健診で所見があった従業員への受診勧奨にも力を入れており、産業医自ら積極的な受診勧奨を実施することで、2023年度の保健指導実施率は100%であるとともに、ハイリスク者の追跡も確実に実施しており、疾病等の早期発見・早期治療につなげることができています。

教育の実施

新入社員教育において、「新社会人の健康習慣について」をテーマに、生活習慣病予防や喫煙によるリスク、メンタルヘルス対策(セルフケア)などについて教育を行っています。新入社員のうちから健康意識を高めることで将来の健康障害の発生を未然に防ぐとともに、ストレスコントロールの手法を習得させることで、メンタルヘルスによる休業や離職の防止を図っています。
また、階層別研修の場やe-ラーニングを活用して、最新の健康に関する情報を発信し、ヘルスリテラシーの向上を図っています。

感染症予防対策の実施

感染症の流行に関わらず、各職場に消毒薬やうがい薬、マスクを設置しており、日ごろから感染の予防に努めています。
新型インフルエンザ流行時の対応として、感染予防対応マニュアルや、事業継続のための計画を整備しており、万が一新型インフルエンザが流行した場合は必要な予防接種及び感染対策を推進していきます。
新型コロナウイルス感染症への対応としては、従業員本人の感染状況のモニタリングを継続しており、必要な対応が取れる体制を整備しています。また、マスク配付や消毒薬などの設置を継続するなど、社員の感染防止に努めています。加えて、当社及びグループ会社の社員や家族を対象に職域接種を実施しました。取引先の社員や家族も対象とすることで、取引先の健康経営の推進にも寄与しています。
季節性インフルエンザの対策も毎年行っており、費用補助にとどまらず、社内での予防接種も実施しています。

女性の健康課題に関する取組み

女性特有の健康課題に着目し、女性従業員だけではなく、同僚・上司となる男性従業員も対象として、女性特有の健康課題をe-ラーニングや研修に組み込んでおり、eラーニングは9割以上の回答率となっています。リテラシーの向上を図ることで、女性も働きやすい職場づくりを進めています。
また、乳がん・子宮頸がんについては、予防・早期発見に力を入れており、健保組合サイトから外部の検診予約代行サービスを利用し、検診を自己負担なく受診できる仕組みを導入しておりましたが、さらに進んだ取組みとして、2023年度の定期健康診断に婦人科検診(乳がん・子宮頸がん)を組み込みました。同時受診できることで受診の利便性が大きく改善し、受診率の向上につながっています。

お取引先の健康経営の支援

お取引先に対して、当社主催の健康イベントへの参加機会の提供や、健康経営に関するアンケートを実施し、その内容に応じた当社の健康経営に関する取組み内容の共有・勉強機会を作り、より良い健康経営を進めていくための関係を構築しています。

地域に対する取組み

当社沿線は医療機関が充実し、安心して住める沿線であるということを多くの方々に知っていただくとともに、沿線住民の方々の健康意識を高めることの取組みを神戸大学医学部附属病院や兵庫医科大学などの沿線医療機関と連携して推進しています。
2015年3月から、健康増進に役立つ情報等を提供する「阪神沿線健康講座」を開催しているほか、2016年8月からは、お子さまからシニアまでの幅広い世代が最新の医療や健康づくりを楽しく学べる体験型イベント「なるほど医学体験!HANSHIN健康メッセ」を年に1回程度開催しています。