阪神電車では、7箇所の変電所で受電した電気を変換して、電力ケーブルなどで列車や信号所、駅などへ送り届けています。私が所属する電力管理事務所では、変電所や電線路設備、駅の受配電設備などの管理を行っています。
私は2006年に入社し14年目で、配属後6年間は変電所設備と電車線設備の点検業務を主に担当し、8年ほど前から電力指令所での勤務や工事の設計施工管理も担当しています。
電力指令所は一定の経験を積んだ者が務める業務で、24時間体制で設備監視を行い有事対応に備えるほか、夜間の停送電作業管理を行っています。
電気は鉄道の運行に欠かせない大変重要なものですし、電気を送るための設備は日々のメンテナンスが欠かせず、その作業は多岐にわたります。例えば、変電所では、定期的に大型の変圧器や遮断器を停電させて点検しています。作業の種類に応じてチームを編成し、私はその責任者を任されています。
また、電車線などにビニールなどの飛来物が付着した場合、私たちが撤去にあたります。営業時間中に撤去作業を行う場合は、運輸部門と確実に連携をとり、安全配慮が欠かせません。
確実な保守作業を行うことはもちろんですが、変電所や電車線の保守作業には、高所での作業、充電部への接近、列車に近い場所での作業など危険が多くあります。お客様の安全を守ることと同様に、私たち自身の安全を確保することもとても大事なことだと意識しています。
特に電車線設備は自然災害の影響を受けやすく、規制値を超える風や雨、地震等が発生した場合、列車を停止させ、風雨が弱まり揺れがおさまった後に設備を点検し、異常が無いことを確認してからでないと運行を再開できません。私たちは、1分1秒でも早く運行を再開させるため、徒歩による目視点検や梯子による飛来物の除去などを行います。
最近の大型台風や大阪北部地震が発生した際は、現場では雨風に打たれながらも、迅速な点検や復旧作業が求められ、正直大変だなと思うこともありました。しかし、後日お客さまから「少しでも長く走らせてくれてありがとう」、「復旧お疲れ様、助かります」といった声が届いていると聞き、本当に嬉しく思いました。同時に、鉄道を運行させることの役割の大きさを、改めて強く感じました。
最近の設備は性能が高く、技術も進歩しているので、修理や対応が必要な故障が少なくなっており、若手が現場でトラブルに対応する機会が減っています。経験不足を補うには、技術的な訓練だけでなく、感覚的なことも含めて先輩方の過去の経験を聞くことが大切だと感じています。私自身も、後輩が知りたいと思っていることは何か、どのように教えれば理解してもらえるかということを考えながら伝えるように心がけています。
これからも、自身の技術を磨きながら、後輩の育成に力を入れていきたいと考えています。自身と職場のスキルアップを図ることで、引き続き安定したサービスを提供できる阪神電車を目指していきたいです。