電気部通信課では、列車を安全に運行させるために必要不可欠な運転保安設備、券売機・改札機・精算機などの駅務設備、有線LAN・列車無線・旅客案内システムに代表される通信設備の開発や維持管理を行っています。
その中で私は、列車の運行情報等をお客さまにお届けする旅客案内システムの開発を担当しています。旅客案内システムには、駅ホームで列車情報をご案内する案内表示器や自動放送設備、改札口で運行異常時の情報をお知らせする情報案内ディスプレイなどがありますが、2018年にはお客さまのスマートフォンにダイレクトに情報をお届けする「阪神アプリ」を開発しました。
従来の駅にある案内表示器や放送設備では、駅にお越しにならないと情報が得られず、表示スペースや放送時間にも限りがありますが、スマートフォンアプリであれば、いつでもどこでもお客さまが必要な情報をご自身で得ることができます。これにより、例えば列車の運行に異常があった場合にも、リアルタイムに状況を確認することが可能となります。
アプリの開発にあたっては、必要な情報にいかに簡単にたどり着くかという操作感にこだわって検討を進めました。日頃からお客さまに接する機会の多い運輸部と連携して、お客さまが求めるものについてディスカッションを繰り返しながら、コンテンツや画面仕様などを決めていきました。
自分が開発に携わったアプリを、実際にお客さまが利用されている姿を駅構内などで見かけることがあります。そんな時は、素直に嬉しいですね。
今後さらに多くの方に利用いただくには、認知を向上させて、ダウンロードしていただくための取組みが必要です。また、インバウンドのお客さまにも利用いただけるような仕掛けや、シームレスな移動に役立つように、バスやタクシーなどの他の交通手段との連携強化など、課題はたくさんあります。その一環として、2019年3月にはシェアサイクルとの連携機能を追加しました。これらの課題に向き合い、アプリをより良いものにしたいという意欲がどんどん湧いてきます。
今回の「阪神アプリ」の開発では、電気部・運輸部だけでなく、グループ会社の方々とも幾度となく仕様の検討を重ねてきました。トップ画面のコンテンツやレイアウトはもちろんのこと、画面遷移やボタン配置、またメニュー等の文言といった細かな点にいたるまで様々な意見が出ました。仕様策定にあたっては、お客さまのご利用シーンをイメージすることを心掛け、例えば“MY駅登録”については時間帯ごとに設定できるようにすることで、「自宅を出るとき」と「職場や学校から帰るとき」にそれぞれ必要な情報をすぐに見られるようにしました。そこには、お客さまの使いやすさを第一に考えたアプリにしたいという全員共通の想いを感じました。この想いは阪神電車のあらゆる事業の根底にある考えであると誇りに感じています。
私自身、日常生活で他のアプリを利用する機会も少なくありません。そんな時は常に「同様のサービスを阪神アプリに盛り込めないだろうか」と考えを巡らせます。私自身もアプリを利用するユーザーのひとりという視点でより良い開発をするように心掛けています。
最近では、他の鉄道会社様でも運行情報等を得られるアプリを配信されています。これらのアプリ間の連携を強化できれば、お客さまにとってもっと便利になると考えています。ハードルは高いですが、その取組みを先導できるように成長していきたいです。私ひとりだけでなく、周りの成長も促しながら、いろんなアイデアを提案できる立場になれるよう頑張ります。